Sense of Wonderスタッフによるブログ

2008/09/01

ICP ORCHESTRA

人間は、変化する。
従って、人間が生み出したものも、変化する。
何物もこの宇宙の法則からは逃れられない。

音楽は、人間によって生み出される。
ということは、音楽も、変化する。

もし変化しない音楽があったら、
それは宇宙の法則に反しており、さらに言えば、
宇宙の発展にまったく貢献していない。

そんな変化のない、宇宙的に無価値な音楽が氾濫する昨今である。
もう、飽き飽きである。

ライブである。
生身の人間の演奏である。

生唾を飲むような緊張感と、
神懸かり的なグルーヴの合致!

ステージという宇宙で創造される、
奇跡とも言える合致の瞬間を目撃したいのならば、

この日、山中湖にて、
ICP ORCHESTRAを見ろ!

目前で生々しく蠢き、刻々と変化しゆく
アメーバのごとき音楽生命体を、

想定外調和の瞬間を、
山中湖実験劇場で目の当たりにしろ!


YOUTUBE
http://jp.youtube.com/watch?v=k0A8ekpTgng&feature=related


Han Bennink!
ねじりハチマキ、手に持つブラシはたこ焼きピック。
技術を極め尽くした、この余裕の表現力。
銀河系を飛び出しそうな、テキ屋グルーヴだ!



Misha Mengelberg!
鍵盤を弾くタッチ一つ一つが、彼の人生そのものを
語っているようだ!
「言葉は要らんよ、これを聴きなさい。」

この二人の間には、一体どんな見えない会話が
なされているのか!?
次々と変化していく音楽という会話。
その内容は絶対に理解できない。
想像するしかない!
だから、面白い!


YOUTUBE
http://jp.youtube.com/watch?v=wE8aA3gysN0

哀愁漂うこのMishaの姿を!
年をとることで逆に浄化され、幼児のように純粋になってしまったのか。
無防備に、長年ともにした相棒のピアノに体をあずけ、
親に叱られてふてくされた少年のような体で、
わずかな歪みから漏れる宇宙の声を拾いあげ、
旋律に姿を変えて、現実世界に届けてくれる!



ICP ORCHESTRA!
今回の来日が最後かもしれない。
人、というか、音楽そのものになりつつあるMisha。

彼はピアノを弾いている瞬間、自分を人間だとは意識していないだろう。
変化を繰り返し、最後は、音そのものになってしまうのかも知れない。

彼が今、どのような演奏をし、何を伝えてくれるのか?
自己を探求し尽くし、自己変革し尽くした後に何が残るのか?

微笑みをたたえ仲間の演奏を
見守る父の背中から分かること、

それはエゴイズムを超越した、
真綿で赤子を包み込むような他者への愛情かも知れない。